Repair和座卓の天板隙間埋木と再塗装

  • 今から九十三年前に中国の上海で、民国時代に作られた正方形の立派な座卓です。

    使い込まれ良い風合いが出ていますが、塗装の他にも天板に遠目で見ても目立つほどの隙間ができてしまっております。框という木材の組み方で枠を作り、その中心に板を一枚はめこんだ、よく見られる構造で作られています。

  • 木材は年中湿気と乾燥に合わせて伸縮をしているため、長年使っているとこのように徐々に隙間が生まれていきます。
    拡大するとこのように木が瘦せてしまっております。今回はこの隙間に埋木を施し、目立たなくする処置を行っていきます。

  • 天板の塗装面も剥離していきます。ベルトサンダーを使い平面を保ちながら少しずつ削ります。木が硬いと、切削量が少なく時間が掛かります。荒削りの後で細かい番手に替えながら表面を整えます。
    お客様のご要望で、オリジナルの塗装よりも艶を落とした仕様で塗装を仕上げます。

  • 隙間に合わせた材料をゆっくりとはめ込みます。隙間の箇所に合わせながら鉋で微調整します。

  • 接着剤で固定し、余った材料を刃物で丁寧に、天板に余計な傷をつけずに削り落としていきます。さらに、細かい隙間には細い木材を差し込み詰めていきます。このとき差し込む木材の色や木目も近いものを選びます。

  • 留めと呼ばれる框の組み方で、45度の角度で組み合わされております。同じように、経年で空いた隙間にも埋め処理を行います。細く見える隙間は、木の性質上収縮するので、均一に四方に遊びを持たせています。

  • 少しずつ、全体的な仕上がりが見えてきました。塗装前の木地調整が終わった所です。そして、色が濃い部分と薄い部分がありますので、濃い方に合わせて着色します。

  • 塗装まで完了した状態です。隙間もすっかりと目立たなくなり、艶も落ち着いた雰囲気に仕上がりました。
    良い材料と丁寧な造りの天板物は、どんな仕上がりにしても風合いが損なわれないものですね。再び、永く使われていくことに喜びを感じます。

高温多湿な日本では、木製家具の木材の動きによる破損や劣化は避けられない宿命です。
特に、近年では寒暖差も激しくエアコンなどの空調の風による乾燥が大きな要因となるケースが多いと聞きます。1か月に1回でも、市販の家具用ワックスやオイルといったメンテナンス材で保湿手入れをしてあげると、家具もより状態が良く保たれます。
こういった修理をするたび、家具も我々人間と同じく肌で呼吸をして生きている証拠なのだと改めて実感させられます。