アンティーク回転チェア 座面/背 張替え ガタツキ修理
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今回は古い回転椅子の修理の御依頼です。
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座面が完全に抜けてしまい、内側のスプリングが抜け出しています。
内部の構造は現代の椅子張りの構造とは違い、フランスの伝統的な椅子張りの工法で張られた座面です。 -
藁を束ねて縁を固めてある、土手と呼ばれる部分です。底には麻のベルトが釘で止っています。その上にクッション機能としてバネが紐で固定されています。
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主に背もたれとアームはビス留めされていますが、ビスも錆によって破損して構造を保てていない状態でした。
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藁や麻、馬の毛といった自然の繊維を駆使して内容物が構成されています。
こちらは全て取り除いて現代の工法で座面を張り直します。 -
部分的に木部の破損もあり、組み直りが必要です。
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このように、フレームが出てきました。背板の部分も新たに張り直します。
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解体して再び組み直しです。
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ビス穴は木栓で埋め直します。
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座面と背フレームの接合に大きな欠損があったので、埋木で補強します。
あとはタッチアップを行って全体の美観を整えます。 -
今回使用したレザーは本革のオイルレザー。
かなりエレガントな仕上がりに生まれ変わりました。 -
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回転軸のベースに裏から補強材で固定されています。
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革の光沢や質感も合成レザーとは手触りを比較すると、しっとりしています。
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ほぼオリジナルの生地はなくなっていた、背の当たり部分もこのように仕上がりました。
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お持ち込みいただいた際には生地張替えのみを行いたいとのお話でしたが、生地剥がしやチェックを行っているうちに構造全体にガタツキや緩み、部材に破損が散見されたため、そのままではせっかく生地を張り替えても間もない期間で使用中に椅子自体が破損してしまう可能性が高いとの旨をお伝えし、ガタツキ及び補修修理も追加でご依頼頂く事となりました。今回は金属の回転機構や脚部には問題がなかったので、座面から上の施工で収まりましたが、回転椅子の場合、金属の回転軸など破損の場所によっては修理が難しいケースもございます。
そういった症状も含めてお困りの際には、是非一度ご相談くださいませ。