今回はキツツキマークで知られる飛騨産業のウィンザーチェアです。ご依頼は全剥離再塗装と接合部補修のフル修理で頂きました。約50年お使いとのことで塗膜の劣化、汚れ、そして接合部はほとんどの箇所がボンドが切れており、ガタもかなりでている状態です。
座面の剥ぎも切れているチェアも見られ、かなり大掛かりな修理に。
経年使用により部材も破損が生じています。写真は貫といわれる前脚と後ろ脚を繋ぐ部材です。こちら以外でも背もたれのルーバーなど、5脚で計5本の破損が生じていました。今回は補修では強度が足りないと判断したため、これらの部材は新規で作り直していきます。
破損パーツです。
解体後です。ほとんどの接合部のボンドが効いていない状態だったため、すべての部材を解体します。
5脚全て解体出来ました。写真でも黒ずみ、打痕がかなりあるのが分かります。ここから剥離、サンディング作業で綺麗な素地を露出させます。
剥離剤を塗布した状態です。剥離剤である程度古い塗膜を剥がし、シンナー洗いで黒ずみなどを洗浄していきます。ウィンザーチェアは部材数が多く、入隅も多いためこの作業がとても大変でした。
素地が出てきました。ここからサンディングで素地を綺麗に整えます。最初に機械で大まかに削り、手ヤスリで形を整えます。脚付近には虫食いや打痕が見られていた為、パテを入れて目立たなくしています。
次は、板接ぎをしていきます。仮締めをしたときにかなり隙間が出ている状態だった為、鉋で平面を出し、ビスケットジョイントと呼ぼれる補強材を断面に埋め込み接合をしています。座面割れがあった他2脚も同じ仕事をしていきます。
続いて、板接ぎした箇所にチギリといわれる蝶ネクタ状の木片を埋め込んでいきます。チギリは木材同士を強力に引き寄せ、接合箇所の強度をかなり上げることが出来ます。
あまりここまでチギリが入っているチェアは見かけませんが、今回は状態が良くなかった点とこれからも長く使いたいというお客様のご要望もありこの様な加工を施しました。
チギリは家具の容姿としてとても可愛らしいアクセントになりますね。
部材同士を組み付けていきます。背もたれのルーバーは細身の作りりの為クランプ締めすぎると曲がってしまったり、割れてしまう恐れがあります。その為締めすぎ接合部がしっかり留まる程度の締め具合で調整します。
部材ごとに分け接合をし、形にしていきます。
ここから塗装の作業に入っていきます。色味、艶はオリジナルに合わせます。色味は素地着色である程度近づけていき、塗膜着色で最後の調整を行いました。塗料はウレタン半艶で仕上げます。
afterです。
新たに制作した部材達です。
オリジナルの雰囲気を残したまま、これからも長くお使いいただけるよう丁寧に修復いたしました。
破損していた部材については、新たにナラ材を使用し、旋盤加工にて制作しております。
長年ご使用されてたこともあり、接合部の緩みや部材の損傷などが見られ大掛かりな修理となりましたが、無事に納品することができました。
お客様の思い出と共に使われてきた家具を再び安心してお使いいただける状態へ繋ぐお手伝いができたこと、大変光栄に思います。
ご依頼ありがとうございました。