修理事例

REPAIR

アームチェア 右肘掛部破損修理

今回はこちらのアームチェアの肘掛け部の修理です。

このように、肘掛けの根元の接合部分から破損してしまっている状態です。

元通りに合わせてみると、まずは背の部分から斜めに裂けてしまっております。

こちらは挽物部材で、いわゆる木工旋盤を使用して一本の木材を削り出しているパーツです。ディティールのくびれから真っ二つに折れています。最も破損のケースが多い例の一つです。

背部分に繋がる部分は応急処置として、金属プレートでビス固定されていました。

こちらも接着剤で応急処置はされておりましたが、断面繊維が破断しているため、ほとんどのっかっているだけだったと思います。修理時には接着剤は可能な限り取り除いて再接着の為、脱脂を行います。

今回は破損した部材の作り直しではなく、破損部の補強と再圧着修理という内容にて施工します。

締めるときはクランプのかかり圧も均一に垂直にかかるよう、部材が斜めになっていないか確認しながら固定します。

こちらは背の部分。ビスとダボを併用して背の接合部の強度を確保します。

背面から見るとこうなります。

挽物パーツの折れた部分です。

お互いのパーツに必ず垂直に穴を開け、ダボや棒材を芯材にして補強します。挽物材を修理する場合、この手法が多く取られます。

圧着後は、成形処理と美観処理を行って終了です。

一見、継ぎ目は目立たなくなりました。

接合部正面はビスで固定し、パテ処理で埋めております。

肘掛けの支えも無事、繋がりました。

継ぎ目の成形処理が大変でしたが、こちらも違和感なく仕上がりました。

ダボ処理を行った箇所です。

バランスよく収まりました。

無事、完成です。

アームチェアでは日々の力の加わり方によって、今回のような破損のケースは多々あります。破損した部材は作り直した方が勿論強度はあるのですが、費用と時間がかかってしまいます。今回は補強修理という内容で施工をさせて頂きました。

折れた部材の箇所が2箇所とも細く強度の弱い点にも破損の起因がありますが、やはり強い衝撃を加えないことがこういった家具を長持ちさせるポイントです。

破損の具合によって修理の方法も変わりますが、どうしても修理して使い続けたい家具でお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。