
これは英国のアーコール社が1950年代にNo.349という品番で製造したラブシートベンチを、同国のクロージングデザイナーであるマーガレット・ハウエル氏と共同で復刻版として製造されたものです。

左前脚と縦側の貫が折れてしまい、横貫材も抜け落ちてしまった状態です。

今回の修理は折れた部材を新たに作り替えを行います。

このように破断した状態です。

中に残ってしまった部分は穴を開け直します。座面は楔止めなので、新たに作った脚で締め作業を行ってから楔を打ち直します。



綺麗に取り除きます。

旋盤加工で脚材と貫材を作り、オリジナルの部材をコピーするように穴開け加工を行います。角度があるので組み上げにコツが必要ですが、何とか組み上がりました。

あとは塗装で雰囲気を整えます。

接合部もしっかりと収まりました。

楔を打ち込んでから切り落として表面を慣らして塗装です。

こちらは破損の反対側ですが、こちらはペットの噛み痕が酷く残っており、パテ処理とタッチアップ塗装で美観処理を行いました。ほとんどわからない状態に収まりました。

外の光で見ても大きく違和感はないようですね。

笠木も色抜けがエッジを中心にみられたので部分塗装です。

ビフォーの写真と比べると違和感なく脚が元通りになりました。


これでまた使い続けていただけますね。
こういったチェアやベンチは構造はシンプルなのですが、角度がついた構造の部材は少しの加工の誤差で修理がうまくいかないケースもあります。破損した場合もこのように修理することでまたお使いいただけます。お困りの際には是非ともご相談ください。